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わきが手術は怖い?危険?わきが手術特集

重度のわきがの場合、自分だけでの対策では難しく、病院やクリニックで手術による治療を進められることもあります。

手術による治療は、「わきがの治療」でご紹介した「電気凝固・分解法」や「皮下組織吸引法」などと比べると、改善度は非常に高くなるのですが、外科手術である限り、体にメスを入れることのリスクを伴います。

また、手術にもいくつかの種類がありますので、わきがの程度や体質、体への負担、価格などを考え、自分に合った手術を選びましょう。今回はわきがの外科手術にはどんなものがあるかをご説明します。

1.完治率の高い「剪除法(せんじょほう)」

剪除法は脇の横シワに合わせてメスを入れます。表面の皮膚を取ってしまうわけではなく、あくまでも「切り込み」を入れるだけにして、皮膚を裏返し、アポクリン腺を目で確認しながら取り除いていく手術です。

【メリット】
・ アポクリン腺を見ながらカットしていくので、取り逃しが少なく完治する可能性が高い
・ 手術は麻酔が使われるが、術後麻酔が切れた後の痛みが強い。
価格は高めだが、保険が適用される場合が多い

【デメリット】
傷口が目立つ場合がある。また、色素沈着が起こる場合がある。
・ 術後の回復に時間がかかる(日帰りも可能な場合があるが、その後 入浴など制限される)。
医師の技術力が必要となり、病院選びが重要となる。

2.「切除法」はなぜ避けるべき?

「切除法」は最も歴史の古い手術ですが、現在ほとんど行われていません。脇の下の皮膚を完全に切り離してアポクリン腺を取り除きます。取り除いた後、切り離した皮膚を元の位置に戻し、縫合します。

歴史ある方法で、効果も非常に高いのですが、デメリットが多いのが気になるところです。

【デメリット】
出血や痛みなど体への負担が大きく、数週間安静にしていなくてはならない
・ 合併症の危険が高い。
傷跡が大きく残る。傷口に色素が沈着し、目立つ場合がある。
・ 皮膚のひきつり、腕のむくみ、運動障害など、後遺症が残る場合がある。

そのため、これらのデメリットをできるだけ少なくした手術が求められ、「剪除法」や「皮弁形成方法」が考え出されました。

3.「切除法」の問題点を改善した「皮弁形成手術」

「皮弁形成手術」は、「切除法」と同じ考え方によるものですが、体への負担を少なくするため、皮膚をZの文字のようにカットして行います

切除法は、腕を伸ばすときに伸びる方向と並行な線で長くメスを入れます。術後の傷口は、術前と比べ皮膚の伸びがよくないため、引きつる・腕の上げ下げに違和感が残るという後遺症がでてしまいます。

そこで、Z型にメスを入れることにより、比較的 皮膚も伸びやすくなり、後遺症の発生が少なくなるのです。

【メリット】
・ 切除法よりは後遺症の発生率が低い。
保険が適用される場合が多く、安価に手術を受けることができる。

【デメリット】
出血や痛みなど体への負担が大きく、数週間安静にしていなくてはならない
・ 合併症の危険が高い。
傷跡が大きく残る。傷口に色素が沈着し、目立つ場合がある。
医師の技術力が必要で、完全にアポクリン腺を取り除けない場合もある。

4.数ヶ所を切除する「皮膚組織掻爬法」

脇の下に複数の切れ込みを作り、そこから汗腺をかきだす手術です。「キューレット」(スプーンのような形をしており、刃が付いているため汗腺を削り取ることができる)という器具を使って行われます。

【メリット】
傷口は複数になるものの、ひとつひとつの傷口が小さく、目立ちにくい
・ 比較的 手軽に行える手術で、術後の回復も早い。
・ メスを使う手術ではあるが、合併症や後遺症の危険性が低い

【デメリット】
・ アポクリン腺を見ながら取り除く手術ではないため、アポクリン腺が残る可能性がある。
わきが改善の成功率は低いと言われている。
・ キューレットの扱いには、医師の高い技術が必要である。

5.どの手術を選べばいいの?

いろいろな手術がありますが、「わきがの完治度が高い」手術ほど、「傷口が残るリスクや後遺症のリスクが高い」と言えます。

まずは手術以外の治療を考え、医師と相談した上で「治療のレベルではわきがの改善に至らない」と判断された際に手術を選ぶべきでしょう。

しかしながら、わきがは「完治すること」が重要ではなく、「一般的な防臭対策で対応できるレベルにすること」を目的とするのもひとつの考え方です。

「せっかく手術を受けるのであれば」「どうせなら完全に」と考えてしまう気持ちはわかりますが、どんな手術もアポクリン腺を完全に排除できない可能性はあります。また、手術後にアポクリン腺が再生してしまうこともありますので、あまり完全を求めてもがっかりしてしまうかもしれません。

また、アポクリン腺を取り除いても、もうひとつの汗腺であるエクリン線はアポクリン腺よりずっと小さく、必ず皮膚に残ります。アポクリン汗の臭いとエクリン腺の臭いを区別できない方は、どんな手術の結果にも満足できないかもしれません。

このようなことも十分に考え、慎重に手術を受けるようにしてください。


博士

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